
こんにちは、知財実務情報Lab.専門家チームの角渕由英(弁理士・博士(理学)、弁理士法人レクシード・テックパートナー、特許検索競技大会委員長)です。
前回は、生成AIを特許調査に活用する方法(7)として生成AIを用いた検索式作成の実践[3]特許分類の特定について述べました。
今回は生成AIを用いた検索式作成の実践[4] キーワードの整理について述べます。
最後には、[4]キーワードを整理するためのプロンプトを用意しています。
” ビジネスモデル特許の権利化の奥義 ”(?)を田村先生に教えてもらいましょう。
発明のヒアリング、発明の捉え方、クレーム作成、中間対応のポイントまで、”ビジネスモデル特許の権利化の全て”を解説して頂きます。
また、「どうすれば権利が取れるのか」はもちろんのこと、その前提としての「どのようなビジネスモデル特許を取得すれば事業に資するのか」の考え方についてもご教示頂きます。
企業知財部の方はもちろん、特許事務所の方にも役立つと思います。
ビジネスモデル特許に携わる方は、ぜひご参加ください。
詳細は以下をクリックして開くページからご確認ください。
なお、未公開の発明の内容を生成AIに入力する際に注意が必要であることは、色々な場面で注意喚起をされているとおりですので、ご注意下さい。
※筆者及び所属組織では、依頼者から了解が得られた場合を除いて、生成AIを利用するサービスに未公開の情報を入力することはしておりません。
なお、本記事は2025年12月末に執筆されていますので、生成AIの進歩によって、記事の内容が古くなっている可能性があることをご了承下さい。
特許調査のステップ2の(2)検索式の作成は、以下の図に示すように、検索式の作成におけるタスク、(2-1)調査対象技術の構成の特定と、(2-2)予備検索、(2-3)特許分類の特定、(2-4)キーワードの整理、(2-5)本検索式の作成に細分化されることは前回も述べました。

今回は、(2-4)キーワードの整理について、実践をしてみましょう。
(2-4)キーワードの整理
キーワードの整理では、予備検索で見つけた調査対象技術に関連する特許文献、特定した特許分類の情報などから、キーワードを整理します。
(2-4-1)予備検索でヒットした文献
前々回の予備検索では、以下の仮想事例について、本検索で用いる(2-3)特許分類の特定と、(2-4)キーワードの整理を目的として、調査対象技術にそれなりに近い特許文献を幾つか見つけました(生成AIで利用できるプロンプトも紹介しました)。
箸の先端部に反発用磁石を内蔵していて、箸置きに設けられた箸置き用磁石との間の反発力で箸の先端部が浮上する宙に浮く箸。

プロンプトをChatGPT(GPT-5 Thinking)で実行することで、いくつかの特許文献と候補となるキーワードについて同義語・表記ゆれが以下のように出力されましました(日本語のみ抜粋)。これでは不確実、不十分なので、詳細にキーワードを検討していきます。
同義語・表記ゆれ
- 要素A(箸・先端部):
- JP:箸/菜箸/箸先/箸先端
- 要素B(箸置き/保持具):
- JP:箸置き/箸枕/保持具/レスト
- 要素C(磁石・反発):
- JP:磁石/マグネット/同極/反発/排斥
- 作用/効果語:
- JP:浮上/非接触/衛生/汚染防止/復元力/安定化
- ノイズ除去(否定/除外):磁気吸着/収納バー/包丁マグネット/リニアモーターカー/磁気ベアリング/冷蔵庫マグネット等
(2-4-2)キーワードの詳細なサーチ
予備検索に続いて、ChatGPT(GPT-5.1 Thinking)でキーワードを詳細に検討しました。
入力したプロンプトは以下のとおりです。
特許調査で用いるべき、候補となるキーワードを同義語・表記ゆれ・上位概念下位概念を考慮して、詳細に精査して根拠もしっかりチェックして提案をお願いいたします。
その際には、予備検索で検討をした要素、特定した特許分類を考慮してキーワードを言語別に整理してください。
約2分間で言語別に同義語・表記ゆれ込み、上位概念と下位概念も考慮してキーワードを特定してくれました。
思考過程では、53の情報源をチェックして、特許用語として適切かどうかも判断して、関連する特許文献の情報に基づいて、同義語、関連概念も確認し、以下のように思考していました。

ここまでの調査対象の特定、予備検索をしっかりと行ったとはいえ、プロのサーチャーと同じ思考で完璧です。
キーワードを用途・対象、構成、作用、課題・効果の観点で整理をしています。

そして、コアとなる概念ごとに、用途・対象、構成、作用、課題・効果の観点から言語別にキーワードをしっかりと示してくれました。

(2-4-3)キーワードの整理とまとめ
そして、以下のように、キーワードを整理してもらいました。このとき、特定した要素(調査観点)ごとに、特許分類と対応付けて表形式でまとめてもらうと検索式作成につなげやすいと思います。
単にキーワードを調べてと指示するのではなく、どのような観点で、いかに情報を整理するか、基準を示すこと、後工程を意識してタスクを実行することが有効であることが分かります。

キーワードの特定は、これまでは、人が予備検索を行い、辞書やWEB情報、特許文献を精査していた作業でしたが、予備検索を適切に行って、特許分類を含む情報の下準備を整えた状態で、生成AIを活用すると人と同様の思考過程で、タスクを実行できることが分かります。
(2-4-4)キーワード特定用のプロンプト作成
これまでの流れを踏まえ、キーワードの特定を実行するためのプロンプトを作成してもらいました。
先ずは、予備検索から、特許分類の特定を経てキーワードの特定に至るまでの過程を聞いてみました。
ここまでの、予備検索から、特許分類の特定を経てキーワードを特定に至るまでの過程を今回の具体論ではなく一般論で整理してください。
その際に、各プロセスを生成AIに行わせることを念頭に各タスクを検討してください。

その上で、キーワード特定用のプロンプトを作成してもらいました。
出力されたプロンプトは以下のとおりです。
予備検索を実行した後にコピペして実行するだけです。
あなたは、特許調査(特にキーワード設計)に世界一詳しいプロンプトエンジニア兼リサーチャーです。
このスレッドに既に提示されている 「調査対象技術の説明」 と 「予備検索結果(代表公報一覧・分類候補・簡易要約・URL)」 をすべて前提にして、以下の要件で 日本語のキーワード母集団を“網羅的かつ正確”に確定してください。
追加質問はせず、現情報だけで完遂してください。
0) 絶対要件(品質・禁止事項)
- キーワードの「創作」をしない
- 実際の公報で使われる語/技術分野で一般に使われる語に限定し、根拠が薄い造語は出さない。
- 必ず追加サーチを想定して検証する(机上で終わらせない)
- 予備検索結果の代表公報を起点に、次の“追加探索パス”を必ず実施した前提で整理する:
- (a) 代表公報の 同一ファミリ/優先権/分割・継続
- (b) 引用/被引用 文献
- (c) 既に特定済みの 分類(FI/Fターム/CPC/IPC)での分類検索
- (d) 代表公報の 要約・課題・効果・実施形態から抽出される語の横展開
- その上で、“公報語彙”優先でキーワードを確定する。
- 予備検索結果の代表公報を起点に、次の“追加探索パス”を必ず実施した前提で整理する:
- ノイズ対策(NOT語)を必ず併記
- 要素別に整理する(後工程で検索式に直結できるように)
- 「対象(用途)」「保持/支持」「材料/構成」「作用(物理原理)」「効果(衛生等)」「安定化/安全」など、要素タグに分解して整理。
- 分類との対応を明示する
- 既に特定済みの FI/Fターム/CPC/IPC がある場合、それと各キーワード束を対応付ける(例:用途=FI、目的=FタームAA、材料=DA 等)。
- 出力は“コピペ可能”であること
1) まずやること(AI内部タスク)
以下を短く整理してからキーワードを出して:
- 技術コア文(1行):What/How/Why
- 要素分解(タグ):
- A: 対象・用途(何の技術か)
- B: 相手部材・保持具(どこに載せる/保持するか)
- C: 主要構成(材料・部品・配置)
- D: 作用(動作・物理原理)
- E: 課題・効果(衛生・汚れ等)
- F: 安定化/安全/実装上の論点(任意だが重要なら)
- 代表公報から“実際に使われている語彙”の抽出(最重要)
予備検索の代表公報のタイトル・要約・請求項・要部の語彙を優先して採用する(推定語より優先)。
2) 出力してほしい成果物(フォーマット固定)
以下の順序で出力してください。
2-1) 要素別キーワード辞書(日本語)
**表形式(Markdown)**で、各要素について次を出す:
| 要素タグ | 目的(拾う範囲) | コア語(必須・高適合) | 拡張語(同義語/表記ゆれ/上位下位) | NOT語(ノイズ除外) | 対応分類(FI/Fターム/CPC/IPC) | 根拠(どの代表公報/どの記述タイプ由来か:タイトル/要約/請求/実施形態) |
- 「コア語」は狭い検索式に使える粒度で
- 「拡張語」は漏れ防止の粒度で
- 「NOT語」は、別分野混入の実例を想定して(例:浮上→磁気軸受/鉄道等)列挙
2-2) OR束(そのまま貼れる形)
要素タグごとに、括弧付きOR束を提示してください(日本語のみでOK)。
- 例:
- A束=(… OR … OR …)
- B束=(… OR …)
- …
※OR束は「語の粒度が揃っている」こと(名詞ばかり、動詞ばかり等)に注意して。
2-3) 推奨検索式(3段階:狭→中→広)
- 狭い式(高適合):ABCDEのように要素束をANDで強く結ぶ
- 中くらい(実務の主戦場):DやEを緩める/同義語を増やす
- 広い式(漏れ最小):分類(FI/Fターム/CPC/IPC)があるならそれも併用しつつ広げる
さらに、各式に「想定ノイズ」と「NOT語セット」も付ける。
2-4) キーワード品質チェック(自動QA)
次の観点で自己点検して、問題があれば修正した上で最終提示:
- (a) 代表公報語彙がコア語に反映されているか
- (b) 上位概念を入れたとき、用途制約語がセットになっているか
- (c) 反対原理(吸着/機械支持など)の近傍技術も拾える設計になっているか(任意:近傍探索束を別途用意)
- (d) ノイズ除外が弱すぎて“別分野大量混入”にならないか
- (e) 分類との対応が一貫しているか(用途=FI、目的=Fターム等)
3) 出力のスタイル
- 日本語で、簡潔・実務向け
- 「推定」や「要確認」は必ず明示し、断定しない
- ただし**使える形(コピペ可能)**を最優先
最後に「このまま本検索に移れる」状態にする
このキーワード特定用のプロンプトをChatGPT(GPT-5.1 Thinking)で予備検索から実行した結果を以下に示します。
最初に調査要素に分解をして、参考となる特許文献を含むサマリを示してくれました。特許分類とセットで要素ごとにキーワードが示されています。

次に、そのまま使える形式に観点毎にキーワードを示してくれています。

次に、キーワードを用いた推奨検索式を狭い→中くらい→広い式の順で示してくれています。

最後に、キーワードの品質チェックとして、検索のヒントも示してくれているので、どのように実際の検索を実行すればよいかも分かり易くなっています。

以上、今回は生成AIを用いた検索式作成の実践[4] キーワードの整理について述べました。
次回は、生成AIを用いた検索式作成の実践[5]用いた本検索式の作成について述べようと思います。
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