独立した後、仕事の依頼を受けるには?

 

こんにちは、知財実務情報Lab. 専門家チームの田村良介(弁理士、ライトハウス国際特許事務所)です。

 

弁理士のキャリアの1つとして、特許事務所での独立があります。中には、独立してすぐに、多くの仕事の依頼を受けている優秀な方もいらっしゃいます。ですが、独立した後、仕事の依頼を受けることができるのだろうか?と不安に思ってる方も多いのではないでしょうか。ちなみに、私は、独立時に仕事がほとんどない状態でした。

 

それでは、独立後、仕事の依頼を受けるために、どのようなことを考えていけばよいでしょうか。

 

そのヒントが、「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」(KADOKAWA)という書籍にありましたので、ご紹介させてください。著者の森岡毅さんは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンや丸亀製麺を立て直したことで有名な方です。

 

 

 

「確率思考の戦略論」では、売上を伸ばすための3つの方法が紹介されています。それは、①認知を高める、②自社ブランドへのプレファレンスを高める、③配荷を高める、の3つです。認知はどれだけ多くのお客さんに知られているか、プレファレンスは好意度、配荷はどれだけのお客さんが買える状態にあるか、と考えていただくとよいでしょう。

 

これらの3つのうち、独立時の仕事が少ない段階で、特に重要なのは、①認知と②プレファレンスです。③配荷は、仕事が増えてきた段階での話ですので、ここでは言及しません。

 

まず、①認知から見ていきましょう。認知は、どれだけのお客さんに知られているか。たとえ、腕に自信があっても、お客さんに存在を知られていなければ、仕事の依頼がくることはありません。

 

また、10人に知られているよりも、100人に知られている方が、当然、仕事の依頼をいただける可能性が高まります。依頼がまだまだ少ないのは、十分な数のお客さん候補の方に認知されていないことが、原因かもしれません。

 

認知を上げる方法としては、例えば、出版、Webサイト、Twitter、Facebook、YoutubeなどのSNS、セミナー講師、専門誌への論文投稿、異業種交流会への参加、紹介、広告などがありそうです。実は、これらの多くに共通するのが、情報の発信です。将来のお客さんにとってお役に立つような情報を、さまざまな媒体を活用して発信するのが良さそうですね。

 

知財実務情報Lab.にて記事を書かせていただくのも、私自身を多くの方に知っていただくための方法の1つです。

 

 

次に②プレファレンスです。お客さんからの好意度ですね。

好意度をあげるには、どうすればよいでしょうか。

 

仕事のクオリティを高める、仕事のスピードを速めるなど、サービスのパフォーマンスを向上させることは、好意度を上げる1つの方法ですね。なにもサービスのパフォーマンスを決めるのは、明細書や意見書などの書類のクオリティや、納期の短さだけではありません。問い合わせに対するレスポンスの速さ、質問への適格な対応、複雑な知的財産制度に対する丁寧な説明などもあるでしょう。

 

例えば、発明の発掘が得意な方であれば、これにしっかり取り組むのも、サービスのパフォーマンス向上と言えそうです。得意分野で、他の弁理士さんよりも高いパフォーマンスを発揮するのも、好意度アップにつながるかもしれませんね。スタートアップ支援や中小企業に特化するというのも、これにあたりますね。

 

それと、価格を下げるのも、お客さんからの好意度を向上させる1つの方法です。ただし、価格を下げることは、諸刃の剣でもあります。その分、利益が減ることになりますので。仕組みづくりやシステムへの投資などで、低価格にしても収益性が悪くならないような工夫が必要かもしれません。

 

まとめになりますが、独立初期は、特に、①認知と②プレファレンスを意識して活動するとよいかと思います。試行錯誤しながら、自分なりのスタイルを見つけられるといいですよね。

 

本記事が、少しでも、これから特許事務所を開業される方のご参考になりましたら、幸いです。

 

田村 良介(弁理士、ライトハウス国際特許事務所)

専門分野:特許の権利化実務(主に、化学、ソフトウェア)

  note

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