「第2回特許の鉄人」の審査員をやりましたが、審査の判断結果・理由は以下の通りです。

先週末(1/17)の夜に、「第2回 特許の鉄人」が開催されました。

私は第1試合の審査員として参加させて頂きました。

まずは、このイベントを時系列で振り返ってみたいと思います。

  

開場は6:30ですが、私は6時過ぎくらいに現地に到着。

今回もチケットはSold Out。

130人くらいのお客さまが集まるはずです。

 

開場前なので、まだお客さまは来ていません。会場はこんな感じ。

前回の「第1回特許の鉄人」で私は選手でしたが、今回の「第2回特許の鉄人」では審査員ですので、かなり気楽です。

審査員席に座り、私と一緒に第1試合の審査員を務める奥村先生と記念撮影。

奥村先生も前回は選手でしたので、試合前は超緊張した様子でしたが、今回は審査員ですのでかなり気楽のようです。満面の笑み。

 

6:30に開場するとお客さんがどんどん入ってきます。

そして、7時にイベントがスタート。このイベントの主催者である加島先生のお話が始まりました。

ルール等はツイッター等、ネット上にあがっていますので、知りたい方はググってください。

 

そして、第1試合が始まります。松本先生VS甲斐先生。

本物の発明者が登場。

今回の発明品は、こちら。

「Qoobo」

撫でるとしっぽを振る癒し毛ロボット。

アマゾンで販売中だそうです。

発明者の説明が始まります。

(発明の詳細はネット上に沢山散らばっていますのでググって下さい。)

ここからは、私も本気モード。

発明内容は、私も事前には知らされていません。

そこで初めて聞く発明の説明を聞き、メモを取り、発明のポイントがどこかを整理していきます。

本当のところはハードとソフトの複雑な構成からなっているのでしょうが、

それをどこまで突き詰めるのか、難しいところ。

突き詰めてしまうと25分でまとめるのは不可能。

よって、構成をシンプルにとらえてクレームを書く必要があるだろう、と思いました。

また、構成要件と効果の関係がつかみずらいという印象。

さらに「癒やすもの」という特徴を、どうやってクレームに落とし込むか。

「癒やす」等の文言をクレームに入れない、という方法もありますが、発明者は入れたいはず。

発明者の意図を汲んでクレームに入れるとすると、どうなるのか。

下手な入れ方をすると記載不備になるでしょう。

どうするかなぁ。私なら、請求の末尾に「・・・という特徴を有する癒し系ロボット」とかにするかなぁ。

とか考えます。

それから、今回の発明の先行技術としてアイボとかが登場しますが、

これら先行技術との差異も、今一つ、つかみにくい。

私は、表面がフワフワしていて癒される感じが先行技術との差異のように思ったのですが、

「フワフワしていて癒される、気持ち良い」をクレームに落とし込むのは難しい。

単に「フワフワしている」と書いたら記載不備になるでしょう。

じゃぁ、どう書くか。

こんな感じで考えながら、まずは自分だったらどのようにクレームを書くかを、本気で考えます。

そうしないと選手のクレームを審査できないので。

  

私の方で、なんとか発明のポイントを整理した後、2人の選手のクレームを読んでいきます。

正直に言いましょう。

私は、残り10分の段階で、2人のクレームに差はない、と考えていました。

書き方や言い回しは違いますが、概ね、同じようなことを書いていました。

正直いって

「これでどちらが良いクレームかを判断できないよ。差がないよ。どうやって優劣を付ければよいのだ?」

と本気で悩んでいました。

そして、なんとなく、クレームの読みやすさ、日本語の流れの良さから、

松本先生の方へ投票しようと思っていました。

本来、審査員に求められているのは、読みやすさとか日本語の流れとかではなくて、

従来技術との差異とか権利行使のしやすさとか、

もっと難しい観点から優劣を付けることを求められていることは分かっていたのですが、

本当に差異がないと思っていましたので、

仕方なく、

「なんとなく松本先生のクレームの方が好きだな」

という感じで、ほぼ審査員として職場放棄(立場放棄?)したような態度で優劣を決めようと思っていました。

しかし、残り時間が10分を切ったところで、松本先生の手の動きが止まります。

選手を経験した私の推定では、おそらく、残り時間がほとんど無くなったために、元々の極度の緊張状態から、さらに緊張度がアップし、思考回路が止まったのだろうと推定します。

(私も第1回 特許の鉄人 第1試合にて、「残り10分」の時にクレームが形になっていなかったので、頭が真っ白になりかかったのですが、何とか持ちこたえ、残りの時間を乗り切りました。あのときの経験を思い出し、思わず涙ぐみました。)

130人くらいの人が見ている前で、クレームを25分で書け、と言われた場合、ほとんどの人が手も頭も動かなくなり、いつものようには書けなくなります。

それは容易に想像できると思います。

私は心の中で叫びました。

「がんばれ-。ひとまず冷静になって、とりあえず、形だけでもポイントをクレームに書いて--。」

しかし、このイベントは、血も涙もありません。

その後、タイムアップ。

選手のプレゼンの後、投票です。

松本先生はクレームが3つ書いてあります。

これに対して甲斐先生はクレームは5つ書いてあります。

その時点で2人のクレームを見比べてみると、

クレーム1だけの比較ですと、やはり松本先生のクレームの方が良い、と考えていました。

甲斐先生のクレーム1は広すぎと思いました。新規性がない。

そして、上記の通り、松本先生のクレームは、日本語の流れが良いと思いました。

しかし、甲斐先生は、従属項を4つ書いており、5個のクレーム全体によって、

発明のポイントを、ほぼ網羅しています。

一方、松本先生のクレームは3つで、甲斐先生と比べると

発明のポイントを網羅できていない。

トータルで考えると、甲斐先生の書いたクレームの方が優れていると判断すべき、と考えました。

そして、甲斐先生の投票しました。

もう一人の審査員の奥村先生も、私と同様に甲斐先生に投票し、会場票も加えると、トータルで甲斐先生の勝利となりました。

やはり25分でクレームを書くのはムリです。

特に、130人が見ている前で、雑音の中、まともなクレームを書くのは不可能です。

松本先生のクレームを読む限り、松本先生はかなり腕が良い弁理士だと思います。

上記の通り、松本先生のクレームは日本語の流れよいですし、

時間があれば非常に良いクレームを作成されたはずです。

日頃、松本先生に仕事を依頼されている方はご安心ください。松本先生は一流の弁理士であることは私が保証します。

広島で開業されていますので、お近くの方は、松本先生へ依頼しましょう。

ここで、私の審査員の仕事は終了。

あとはビールを飲みながら、気楽に第2試合を見ればOK.

やっとビールが飲めるぜ、ということでお店のバーカウンターへ行くと、

大役を終えた甲斐先生がバーカウンターにいます。

高橋:「甲斐先生、勝ちましたね。おめでとうございます!」

甲斐先生:「ありがとうございます! かなり緊張しました。ここだけの話、実は緊張で手が震えて、キーボードが打てませんでしたよ。」

(甲斐先生、すみません。ここだけの話を、ここに書いてしまいました。)

ということで、甲斐先生と私とで記念撮影。

その後、甲斐先生はビールを飲みまくってました。

スポンサーからのプレゼンの後、第2試合が開始。

選手2人は緊張した様子。

選手には悪いのですが、私は観客に溶け込んで、ビールを飲みながら、超気楽に観戦です。

  

第1回特許の鉄人に続き、今回もにょんたかさんが発明者として登場。またもや着ぐるみ姿。

そして、発明内容が説明されますが、

またもや、超---難しい。この発明のクレームを25分で作るのは、完全にムリ。

 

しかし、2人選手は黙々とクレームを作っていきます。すげ-な-、と思いながらビールを飲みます。

そして、第1試合と同様に、25分経過後に選手のプレゼンがあり、どちらのクレームが良いかの投票がはじまります。

今回は押谷先生が勝利。でも2人の審査員の票が割れました。接戦でしたね。

エンディング。

選手が集まれば「第3回 特許の鉄人」を開催したい、とのことでしたが、どうですかね。

やはり、このイベントに選手として参加するのは、かなりの気合が必要です。

問題のレベルを少し下げた方が良いのではないだろうか、というのが個人的意見ですね。

それから、見た目で発明の内容をとらえやすいものの方が良いと思います。

そういう意味ですと、第1回特許の鉄人の第1試合、

つまり、私が選手のときのお題目:


こういう発明がちょうど良いのではないか(それでもちょっと難しいと思うが)、と思います。

あくまで個人的意見ですが。

以上の通りですが、このイベントは(見ている分には)、かなり面白いです。

第3回が開催されることを期待します。

<番外編>

このイベントの会場で、かなり多くの知り合いに会い、声をかけて頂いたりもしました。

数えてはいませんが、30人くらいの方に声をかけて頂いたような気がします。

ありがとうございました。

久しぶりに会う昔の友人も見に来てくれて、会って話せたことも良かったです。

例えば、私の左手側は医者のT君。大学時代からの友人。医者のなのに特許に興味があるらしい。

私の右手側の女性は弁護士のT先生。医者のT君のお友達。慶応義塾で、研究・特許法務の仕事をしている。得意分野は「離婚」だそうですので、決してお世話にならないようにするつもりです。(お世話になりたい方がいらしたら、ご連絡ください。T先生を紹介しますよ。)