田村 良介

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ビジネスモデルを、ビジネスモデル特許で保護するには?

 とある中小企業の経営者から発明相談を受けています。 社長面白いビジネスモデルを思いついたので、特許出願を考えています。弊社では、自社のWebサイトでピザの注文を受け付けて宅配をしています。今回、思いついたのは、ピザの注文を受けてから30分以内に配達できなければ、お客様にクーポンを差し上げる、というアイデアです。クーポンは、データで提供され、次回にピザを注文時に使用できます。 社長注文を受けてからピザをお届けするまでに時間がかかった場合に、特典を提供する、ということをお客様に...
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異なる課題を解決する2つの発明特定事項を1つの請求項に含むことについての考察

こんにちは、知財実務情報Lab.専門家チームの田村良介(弁理士、ライトハウス国際特許事務所)です。 ついに完成! これまでにない新しい筆記具について、特許出願をすることに。 検討した結果、以下のように、特許請求の範囲を記載しました。 【特許請求の範囲】【請求項1】軸と、軸の中心部に設けられる筆記芯とを備える、筆記具。【請求項2】軸の長手方向に垂直な断面が多角形である、請求項1に記載の筆記具。【請求項3】軸の一端に消しゴムを備える、請求項1又は2に記載の筆記具。  請求項1は、...
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格別の困難性はなくても、進歩性を有しないとは限らない

こんにちは、知財実務情報Lab.専門家チームの田村良介(弁理士、ライトハウス国際特許事務所)です。 本日は、進歩性のお話です。 特許出願について、審査対象の請求項に係る発明は、○○を発明特定事項として有しているのに対し、引用文献に○○が記載されていない場合、請求項に係る発明は、新規性を有します。ただし、進歩性を有するか否かが問題となります。 この場合、発明特定事項「○○」が、請求項に係る発明と、引用文献に記載された発明との相違点となります。このような場合において、引用発明にお...
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分割出願を利用した権利化の事例(発明の名称「ゲーム管理装置及びプログラム」)

こんにちは、知財実務情報Lab.専門家チームの田村良介(弁理士、ライトハウス国際特許事務所)です。 日本の特許制度では、1つの特許出願をもとに、新しい出願を分割して出願をすることができます。分割出願を利用することで、親出願の請求項に記載された発明とは異なる発明について、審査を受け、特許を取得することが可能となります。 今日は、特許第5814300号(特許権者:株式会社コナミデジタルエンタテインメント)をもとに、分割出願について考えてみたいと思います。   特許5814300号...
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進歩性の拒絶理由における設計変更について

こんにちは、知財実務情報Lab.専門家チームの田村良介(弁理士、ライトハウス国際特許事務所)です。 進歩性の拒絶理由において、請求項に係る発明と主引用発明との相違点について、設計的事項であるとの判断がなされることがあります。 特許・実用新案審査基準の第III部第2章第2節によれば、「請求項に係る発明と主引用発明との相違点について、以下の(i)から(iv)までのいずれか(以下この章において「設計変更等」という。)により、主引用発明から出発して当業者がその相違点に対応する発明特定...
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企業の競争優位を達成するための戦略

こんにちは、知財実務情報Lab.専門家チームの田村良介(弁理士、ライトハウス国際特許事務所)です。 企業が特許を取得する意義として、他社による技術の模倣を防ぐことがあげられます。たしかにそうなのですが、より突き詰めて考えると、競合他社に対する競争力を高めて、企業の業績を向上させる、或いは、企業の業績低下を防ぐ、ということにあるのではないかと、考えています。そうすると、知財の実務家であっても、企業の業績に深く関係する経営戦略についての知識をもっておくことは重要です。   米国の...
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広い請求項を書くための1つの考え方

こんにちは、知財実務情報Lab.専門家チームの田村良介(弁理士、ライトハウス国際特許事務所)です。 特許の実務では、広い請求項で権利化すること、言い換えると、限定の少ない請求項で権利化することは重要ですよね。限定の多い請求項は、特許権を回避される抜け道が多くなる傾向があります。 限定の少ない請求項で権利化をするには、中間対応の際に、できるだけ請求項を狭く限定をせずに、新規性、進歩性を主張していく必要がありますが、その前提として、まずは、限定の少ない請求項を記載して、審査を受け...
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出願時の独立請求項をどうするか?

こんにちは、知財実務情報Lab.専門家チームの田村良介(弁理士、ライトハウス国際特許事務所)です。 本日は、私が、出願時の独立請求項について、どのように考えているかについて、ご紹介をさせていただければと思います。請求項の記載のしかたは、人それぞれ考え方に違いがあるかと思いますので、ここでご紹介するのは、1つの考え方としてお読みいただければと思います。  通常、出願前に先行技術調査を行います。独立請求項は、先行技術調査で発見された先行技術文献に対して、相違点を有するものであるこ...
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意見書のお作法

こんにちは、知財実務情報Lab.専門家チームの田村良介(弁理士、ライトハウス国際特許事務所)です。 拒絶理由通知が届くと、意見書を提出する機会が与えられます。今回は、この意見書の書き方について、主に、進歩性の拒絶理由が通知された場合を中心にお話をさせていただきます。  意見書に記載する事項と言えば、主に、「拒絶理由の概要」、「補正の説明」、「拒絶理由が解消すべき理由」の3つではないかと思います。人によっては、「拒絶理由の概要」も省略してよい、と考える人もいるかもしれません。 ...
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拒絶理由通知の対応方針を、秒速で見つけ出すには?

こんにちは、知財実務情報Lab.専門家チームの田村良介(弁理士、ライトハウス国際特許事務所)です。 皆さんは、拒絶理由通知への対応について、どのくらいの時間をかけて検討していますでしょうか。実務を始めたばかりの方であれば、「半日以上も考えたけれども、どう対応すればよいのか、思いつかない」といったこともあるかもしれませんね。ですが、そういった難しい案件について、ベテランの弁理士に相談すると、10分もかからずに、対応方針についてのおおよその検討ができてしまう、なんてことはないでし...