違和感を感じる請求項

こんにちは、知財実務情報Lab.管理人の高橋政治です。

 

請求項の書き方に関して、昔から気になっていることがあり、そのうちの1つについて記載してみようと思います。

 

例えばですが、

 

【請求項1】 

基材表面の研磨に用いる研磨材であって、

前記研磨材はFeを90質量%以上含む、研磨材。

 

という請求項を読んで違和感を感じる方はいらっしゃいますか?

  

違和感を感じないという方も多いと思います。

 

むしろ、積極的にそのように記載している、または上司にそのように記載するように指導されている、という方が多いかもしれません。

 

それでは別の例を挙げるのですが、

 

赤いリンゴ。

 

という文は、正しい日本語ですよね。

 

これに違和感を感じる方はいないでしょう。

 

それでは、

 

リンゴは赤い。

 

という文はどうでしょう。

 

これも問題ないですよね。正しい日本語と言えます。

 

それでは、

 

リンゴは赤いリンゴ。

 

という文はいかがですか?

 

これは違和感がありますよね。違和感というか、明らかに間違った日本語といえます。

 

上記を簡単にまとめると、

「赤いリンゴ。」は正しい。

「リンゴは赤い。」は正しい。

「リンゴは赤いリンゴ。」は正しくない。

 

となります。

 

それでは話が戻りますが、

 

研磨材は・・・である研磨材。

 

という日本語は正しいでしょうか? 正しくないでしょうか?

 

「リンゴは赤いリンゴ」は正しくないので、「研磨材は・・・である研磨材。」も正しくない、ということになります。

 

したがって、

 

【請求項1】 

基材表面の研磨に用いる研磨材であって、

前記研磨材はFeを90質量%以上含む、研磨材。

 

はどう考えても間違った日本語ということになります。 

 

それではどう書けば良いのか、ですが、

 

【請求項1】 

基材表面の研磨に用いる研磨材であって、

Feを90質量%以上含む、研磨材。

  

と記載するべきでしょう、つまり、「リンゴは赤いリンゴ」を「赤いリンゴ」にします。

 

請求項は体言止めで記載すること多いですが、その場合、請求項の末尾以外の部分は、すべて末尾の名詞に係る修飾語と考るべきと思います。 

 

ちなみにですが、上記の例の場合、プレアンブルは必要ないでしょうね。

 

【請求項1】 

Feを90質量%以上含む、基材表面の研磨に用いる研磨材。

 

がベストと思います。

 

次に、ちょっとした応用問題なのですが、

 

【請求項1】 

基材表面の研磨に用いる研磨材であって、

前記基材は円形であり、

Feを90質量%以上含む、研磨材。  

 

の場合はどうでしょうか?

 

「Bに用いるAであって、Bは・・・であり、・・・であるA。」

という形ですが、これは正しい日本語ですよね。

 

したがって何ら問題ない、ということになります。

 

 

最後に、念のためにお伝えしておきますが、請求項に「リンゴは赤いリンゴ」のように記載しても、これを理由に拒絶になりません。

 

したがって、私もクライアント様が「リンゴは赤いリンゴ」のように記載したい、という場合は、そのまま、(違和感を感じながらも)記載してしまうことが多いです。