
こんにちは、知財実務情報Lab.専門家チームの角渕由英(弁理士・博士(理学)、弁理士法人レクシード・テックパートナー)です。
連載で、「特許文書の読み方」について説明をしています。
前回は、(7)生成AIをスクリーニングに活用する方法(1)について述べました。
今回は、生成AIをスクリーニングに活用する方法(2)について述べます。
角渕先生のセミナーはいつも大人気なんですが、受講して下さった方から、
「誰でも、これだけ押さえておけば何とかなる、というセミナーはないですか?」
「基礎的なところをキッチリと固めるセミナーはないですか?」
「J-PlatPatだけしか使えないんですが、何とかする方法はありますか?」
というようなご要望を頂きましたので、角渕先生にそれに応えるセミナーを作って頂きました!
詳しくは以下をご参照ください。↓
具体的には、とある発明を思いついたときに、先行技術文献に記載の発明と対比しつつスクリーニングをする場面を想定してみます。
なお、未公開の発明の内容を生成AIに入力する際に注意が必要であることは、色々な場面で注意喚起をされているとおりですので、ご注意下さい。
※筆者及び所属組織では、依頼者から了解が得られた場合を除いて、生成AIを利用するサービスに未公開の情報を入力することはしておりません。
1.生成AIとの対話
前回も同じでしたが、課題を解決するには、どうしたらよいかを生成AIと対話しながら進めていくことが有効です。
今回の課題は「思いついた発明と引用発明を対比しつつスクリーニング」をすることですが、そのときのコツ、工夫を生成AIに尋ねてみましょう。
一般的な生成AIに聞いてもよいのですが、何かを聞くときは詳しい人に聞くと良いように、特許の検索・分析に詳しいGPTsに聞くと良いということは前回の記事で実践しました。
筆者の作成した特許調査のあれこれを教えてくれる「侵害予防調査と無効資料調査のノウハウ~特許調査のセオリー~」というGPTsに今回のケースでスクリーニングをするときの工夫を聞いてみましょう。
以下のプロンプトを入力しました。
あなたは特許調査のプロです。
思いついた発明と引用発明を対比したいと考えている初心者にわかりやすくアドバイスをして欲しいです。 特許文献を読むとき、つまりスクリーニングをするときに、「思いついた発明と引用発明を対比しつつスクリーニングをするときの工夫を3~5つ教えてください。
出力は以下のとおりです。
1分もかからずに以下の回答が得られました。
特許文献をスクリーニングしながら、思いついた発明と引用発明を対比する際に役立つ工夫を5つ紹介します。
1. 構成要件ごとに対比表を作成する
発明を構成要件(要素)に分解し、それぞれについて引用発明と対比することで、どの部分が一致し、どの部分が異なるかが明確になります。これにより、新規性・進歩性の判断がしやすくなります。
例:
構成要件 | 思いついた発明 | 引用発明A | 引用発明B |
材料 | カーボン | プラスチック | カーボン |
形状 | 円形 | 角形 | 円形 |
接合方法 | 接着剤 | 溶接 | 接着剤 |
このように整理すると、どの部分に進歩性を主張できるか、または引用発明を組み合わせて否定される可能性があるかを見極めやすくなります。
2. 先に「発明の本質」を明確にする
スクリーニングを始める前に、自分の発明の「本質(コアとなるアイデア)」を明確にしておくことが重要です。
例えば、単なる材料変更なのか、新たな機能性を持たせる工夫なのかを定義し、これに基づいて対比を行うと、引用発明との違いを明確にできます。
3. 検索の段階で「必須要件」と「任意要件」を分ける
特許文献の検索やスクリーニングを行う際に、発明の必須要件(絶対に欠かせない部分)と、任意要件(改善のために追加した特徴)を分けて考えます。
検索式や評価の際に、必須要件がすべて含まれる文献を重点的に精査することで、より的確な対比が可能になります。
4. 近傍検索を活用し、文脈の違いをチェックする
特許検索の際に「近傍検索(NEARBY)」を活用し、キーワードがどの文脈で使用されているかをチェックします。
例えば、「カーボンファイバー」と「強度向上」が近い位置に記載されているかどうかを確認すると、単なる材料としての使用と、強度向上の目的での使用とを区別できます。
5. 進歩性の論理構築を意識する
進歩性を判断するために、単なる違いではなく、「なぜ引用発明では当たり前の変更とみなされないのか」を論理的に考えます。
進歩性の否定パターンをチェック
- 設計変更の範囲内ではないか?
- 単なる材料置換ではないか?
- 技術の効果が予測可能か?
- 引用発明と技術分野が異なるか?
このように進歩性の判断ポイントを意識しながらスクリーニングを行うと、より適切な資料を選択できます。
以上の工夫を活用すると、より効率的かつ正確に発明と引用発明の対比が行えます!
2.図解して生成文と併せて検討をする
この内容をより分かりやすい形でまとめるために図解作成AI「Napkin AI」を使ってみました。
以下の図では生成されたものをそのまま掲載しているので、修正等が必要ではありますが、非常にわかりやすい資料が短時間で作成することができます。


生成された図解を生成された文章を併せて人間が解釈をすることが非常に有効です。
例えば、1.構成要件ごとに対比表を作成するについては、スクリーニング対象を明確にし、構成要件ごとに、引用文献に記載があるかどうかを意識してスクリーニングすることが有効と言えます。
また、2.先に「発明の本質」を明確にするについては、自らの発明のコアとなる本質を明確にすることで、引用発明との違いを理解しやすくなると言えるでしょう。
また、3.検索の段階で「必須要件」と「任意要件」を分けるについては、検索式の作成時に、ポイントとなる必須要件を調査の観点に入れておいて、スクリーニング時に、その観点を意識してスクリーニングをすることが有効でしょう。
また、4.近傍検索を活用し、文脈の違いをチェックするについては、特定のキーワード同士がどのような文脈で使用されているか、注意しながら検索、スクリーニングをすることの有効性を意味していると思います。
そして、5.進歩性の論理構築を意識するについては、新規性のみならず、進歩性も意識してスクリーニングをすることで、思いついた発明をブラッシュアップし、特許出願を行う際に、先行技術との差異となる観点を明確にしておくことが重要であることに通ずると思います。
このように、生成文それ自体は生成文ですが、人が解釈をすることで、意味のある知見として、その後のタスクに活かすことが出来ると思います。
3.生成AIにプロンプトを提案させる
次に、これらの工夫を反映させたプロンプトを生成AIに、提案させてみましょう。
ここでは、「ある特許文献に記載されている発明の概要を効率的にスクリーニングをするとき」を想定したプロンプトを提案させていますが、目的に応じたプロンプトを提案させればよいでしょう。
以下のプロンプトを入力しました。
あなたはプロのプロンプトエンジニアです。
先ほどのスクリーニングをするときの工夫を考慮して、生成AIを用いて、思いついた発明と引用発明を対比しつつスクリーニングをするときに入力すべきプロンプトを提案してください。 思いついた発明と、特許文献の文書からのコピペを入力とするようなプロンプトでお願いいたします。
提案されたプロンプトを含む出力は以下のとおりです。
「あなたは特許実務に精通したAIアシスタントです。
これから提示する、私が思いついた発明と引用発明(特許文献からの抜粋)を比較・対比し、新規性や進歩性を検討してください。
1. 発明の本質・必須要件と任意要件の整理
最初に、私が思いついた発明の『本質(コアとなるアイデア)』を明確にし、以下の情報を分類してください。
- 必須要件(この発明で絶対に欠かせない構成)
- 任意要件(改良や付加的な機能として追加された構成)
2. 構成要件ごとの対比表作成
思いついた発明と引用発明を構成要件ごとに分解し、以下のような表形式で比較してください(列や行は必要に応じて調整してください)。
構成要件 | 思いついた発明 | 引用発明A(文献抜粋) | 引用発明B(文献抜粋) |
材料 | (例:カーボン) | (例:プラスチック) | (例:カーボン) |
形状 | (例:円形) | (例:角形) | (例:円形) |
接合方法 | (例:接着剤) | (例:溶接) | (例:接着剤) |
… | … | … | … |
この表に基づき、どの部分が一致し、どの部分が相違するかを明確に示してください。
3. 近傍検索・文脈の違いの検討
引用発明と私の発明で、同じキーワードが使われている場合には以下を考慮してください。
- そのキーワードがどのような文脈(目的、機能、効果)で使用されているか
- 単なる材料置換や設計変更の範囲で説明できるか、あるいは意外な作用・効果があるか
4. 進歩性の論理構築
以下の観点から、進歩性を肯定/否定する論拠を示してください。
- なぜ引用発明から容易に想到しないといえるか(あるいは容易に想到するか)
- 技術分野や技術常識との関連性
- 予測可能な効果・予想外の効果の有無
- 単なる設計変更・材料置換の範囲かどうか
5. スクリーニング結果と補足
- もし進歩性が否定される場合、その理由とどのように組み合わせて否定されるかを説明してください。
- もし肯定できる場合、どの部分がポイントとなるか、当業者が容易に想到しない根拠を論じてください。
- 必要に応じて、追加の検索キーワード(近傍検索を活用する場合など)を提案してください。
【入力データ】
以下に、私の発明の概要(コアのアイデアや必須・任意要件)と、引用発明として参考にしたい特許文献の抜粋を貼り付けます。これらの情報をもとに、上記指示に従って回答してください。
■ 私の発明の概要
(ここに思いついた発明の概要や特徴、必須要件・任意要件を入力)
■ 引用発明(特許文献からの抜粋)
(ここに引用発明のコピー部分や要約を入力。構成や目的、作用効果などが分かる記述を含める)
上記情報を踏まえ、最終的に【構成要件ごとの対比表】【新規性や進歩性を検討したコメント】【さらなる調査や検討の提案】を含む形で回答してください。必要があれば追加で質問を行い、より詳細な対比を行って構いません。」
【ポイント】
- 必須要件と任意要件を明確に区分することで、スクリーニング段階でどの文献が重要かを判別しやすくなります。
- 表形式による構成要件の対比は、相違点・共通点を一目で把握するのに有効です。
- 近傍検索や文脈の確認は、ただキーワードが一致するだけでなく「どのような目的・効果で用いられているか」をチェックする助けになります。
- 進歩性の論理を示す場合、意外な効果や技術的困難を克服した点を強調すると、新規性・進歩性の検討がより確かなものとなります。
以上のプロンプトを参考に、発明の「本質」をぶれなく示しつつ、引用発明との比較・検討の流れを明確化することで、効率的かつ正確なスクリーニングが期待できます。
4.作成したプロンプトを実行する
実際に、提案されたプロンプトを用いてみました。
■私の発明の概要
お箸に磁石を入れて、箸置きに入れた磁石との反発力で、お箸の先端が浮く技術
■引用発明(特許文献からの抜粋)
とある公開公報の内容をコピペしました。
実行をした結果を以下に示します。
以下では、まず「私の発明(お箸に磁石を入れて、箸置きに入れた磁石との反発力で箸先を浮かせる技術)」について、必須要件と任意要件を整理し、その後、引用発明(特許文献)の構成と対比しながら、新規性や進歩性の観点でコメントします。最後に、さらなる調査や検討すべきポイントを提案いたします。
1. 発明の本質・必須要件と任意要件の整理
(A) 発明の本質(コアとなるアイデア)
- お箸の先端部と箸置きにそれぞれ磁石を仕込み、両者の磁力の反発によってお箸の先端が浮き上がるようにするというアイデア。
(B) 必須要件(この発明で絶対に欠かせない構成)
- お箸側
- お箸の内部(または表面など)に磁石を配置していること。
- 箸先端を浮かせるための機能を担う磁石であること。
- 箸置き側
- 箸置きに磁石(または同等の反発力を発生させる手段)が配置されていること。
- お箸の磁石と相互作用する(反発させる)ように極性や方向が調整されていること。
- お箸の先端が箸置きから浮く
- 磁石同士の反発力で、物理的な接触無しにお箸の先端が浮上する構成であること。
(C) 任意要件(改善のために追加している特徴、またはなくても成立するが望ましい特徴)
- 浮上高さの調整機構(磁石の強度・位置などを調整して、より安定した高さにする工夫)。
- お箸同士をそろえて保管するための吸着機構(例:手元側にもマグネットを仕込み、2本の箸がくっついてズレにくくするなど)。
- 反発力の分布を安定させるための形状設計(周縁部で反発力が大きくなるよう配置を工夫するなど)。
- 軽量化・清掃性を高めるための材質選択(竹、木、樹脂等の内部に磁石を埋設しやすい工夫)。
2. 構成要件ごとの対比表作成
下表では、上記必須要件を中心にピックアップし、「思いついた発明」と「引用発明(特許文献)」の該当部分を比較します。引用発明は要約・請求項などから読み取れる限りの内容を反映しています。
構成要件 | 思いついた発明 | 引用発明(要約・請求項等) |
(1) 食事道具の種類 | 2本のお箸(先端部分に磁石を内蔵) | ナイフやフォーク、スプーン、箸を含む「食事道具全般」。請求項4で「お箸」への適用例にも言及。 |
(2) 先端部の浮上機能 | お箸先端に仕込まれた磁石と、箸置きに仕込まれた磁石の反発で箸先端を浮かせる | 食事道具の先端部と保持具(箸置き相当)それぞれに作用手段(磁石等)を設置し、反発力により先端部を浮上。 |
(3) 反発力の発生手段 | お箸側・箸置き側それぞれに磁石を配置(基本は「垂直方向に反発」させるイメージ) | 第1作用手段(食事道具側)と第2作用手段(保持具側)がいずれも磁石。磁極配置は上下方向・水平方向など詳細構成も例示。 |
(4) 反発力の強度・分布設計 | 特に明記なし(シンプルに先端を浮かす発想)。多少位置や磁極方向での調整は想定 | 引用発明では「反発力が中央部から周縁部に向かって漸増する」など安定化に寄与する詳細な力の分布設計が言及される(請求項2~3、段落[0035]など)。 |
(5) お箸同士の保持機構 | 任意要件として挙げれば、手元側にも磁石を仕込み、並行に保つ仕組みなどが考えられる | 請求項4で「2本の箸に相互に吸着しあう吸着手段」を設ける例を開示。箸同士も反発または吸着し、バラバラにならない工夫が記載されている。 |
(6) 作用・効果 | 箸置きとの接触を避け、先端が清潔に保たれる。 | 食事道具や保持具が汚れない、正しい作法を維持、先端の浮上安定化、デザインの自由度UPなど。 |
一致点・相違点の概略
- 一致点
- 箸(あるいは食事道具)に磁石を内蔵し、箸置き(保持具)側にも磁石を内蔵して反発力で先端を浮かせる。
- お箸にも適用可能とする構成。
- 相違点
- 引用発明では反発力の「強度分布」を詳細に制御する手段や、箸同士の吸着手段(請求項4、段落[0047]等)も開示。
- 思いついた発明では、分布設計や箸同士の吸着などの詳細構成は必須ではない(現時点ではシンプルに先端を浮かせる発想)。
3. 近傍検索・文脈の違いの検討
- 同じキーワード:「磁石」「浮上」「箸」
- 引用発明は、箸に限らずナイフやフォークなど広範囲の食事道具へ適用することを想定し、反発力を「安定」させる設計まで含めて詳述。
- 思いついた発明は、お箸に特化し「先端を浮かせる」点に着目したシンプルなアイデア。
- 単なる材料置換や設計変更の範囲なのか?
- 引用発明には、「お箸」への適用例が明示されている(請求項4)。
- さらに磁石の配置・軸の向き・複数個の磁石による安定化など、より具体的な設計要件が詳細に記載されている。
- 思いついた発明は、引用発明の開示する「磁石を使って箸先を浮かせる」という構成と大きく重なる可能性がある。
4. 進歩性の論理構築
(A) 新規性の側面
- 引用発明にも「箸に磁石を内蔵し、箸置き(保持具)にも磁石を設けて先端を浮上させる」技術が書かれているため、少なくとも大枠の構成は引用発明に記載されているように見えます。
- 新たな構成要素がある場合、たとえば「磁石の方向や強度をまったく別の仕組みで調整している」「浮上の仕組みが引用発明と異なる点(例:振動制御やバランス設計が全く新しい)」等があれば新規性を主張できる余地があるかもしれませんが、現状の情報では引用発明の請求項1および請求項4を読む限り、かなり近い構成となっています。
(B) 進歩性の側面
- 仮に新規性がわずかでも認められない場合は進歩性以前に特許要件を満たさない可能性が高いですが、万一新規性が成立する部分があるとすれば、以下の観点で進歩性を検討することになります。
1.容易想到性
- 磁石で箸を浮かせるというアイデア自体は引用発明に示唆されている。
- さらに食事道具として箸を例示し、箸同士の吸着手段まで開示しているため、当業者が容易に設計変更・材料置換で実現しそう。
2.意外な効果
- 引用発明以上の効果があるか(例:非常に軽量化できる、あるいは磁力の方向を独自工夫してメンテナンス性を飛躍的に向上させる、等)。
- 何らかの「意外な操作性の向上」や「新たな使用シーンへの拡張」が提示できれば、進歩性を主張できるかもしれません。
3.技術分野や技術常識との関連性
- 引用文献は同一分野(食事道具)であり、磁石による浮上という点まで詳細に記載されるため、他分野への転用でもない。
・総合すると、引用発明の構成に極めて近く、単なる設計変更・材料の選択に止まるとみなされる可能性が高いです。もし差異があるとしても、引用発明が網羅的に開示している複数の実施形態に含まれているか、あるいは容易に想到可能と判断されるおそれが大きいと言えます。
5. スクリーニング結果と補足
(A) 進歩性が否定される場合
- 理由
- 引用発明が「磁石を用いて箸先を浮上させる技術」を既に開示しており、請求項4では「お箸」への具体的適用も包含。
- 反発力の具体的な分布制御(漸増設計)、箸同士を吸着させる手段などまで詳細に記載されている。
- 思いついた発明は、この引用発明に非常に類似し、差異が見当たらない(またはごく僅か)ため、当業者が容易に想到可能とみなされる可能性が非常に高い。
(B) 進歩性が肯定され得る余地
- 考えられるポイント
- もし引用文献に記載されていない磁石の配置・形状・材質や、新規の効果(例:極度の軽量化や極度の安定性、あるいは特殊な磁束制御による利点)があるなら、「引用発明の範囲に含まれない独自点」を詳細化する必要がある。
- 例えば、引用発明では「上下方向と水平方向の磁極配置」「漸増する磁場強度分布」を推奨しているが、思いついた発明で全く別の磁場制御手法を用いることで「構造が極めて単純&コスト安」「かつ安定性が保たれる」などの意外な効果を示せるなら差別化の可能性はある。
(C) 追加の検索キーワードや調査の提案
- 近傍検索キーワード例
- 「箸 AND (浮上 OR 浮遊) AND 磁石 AND (反発 OR 反発力)」
- 「chopsticks AND magnet* AND levitation」
- 「箸置き AND 磁力 AND 分布 OR 勾配」
- 他社特許や学会発表の調査
- 同様に磁石を使用した台所用品・雑貨アイデア(フォークやスプーンを浮かせるグッズ等)が多数考案されている可能性があるため、追加文献を確認。
- 実施形態のバリエーションや異なる軸配置
- 磁石の向きを工夫して反発力以外に安定性(あるいは回転防止)を持たせる仕組みが既に提案されているか要確認。
【最終まとめ】
構成要件ごとの対比表
上記の表で示したとおり、お箸と箸置き双方に磁石を配置し、反発力で先端を浮かせる点は引用発明(請求項4など)と実質的に一致しています。
新規性・進歩性の検討コメント
- 新規性: 現状の情報では、引用発明がほぼ同じ構成を開示しているため、新規性が認められるかはかなり疑わしい。
- 進歩性: たとえ微細な差異があっても、「当業者が容易に想到可能」または「引用文献の記載に包含される」可能性が高い。独特の効果や新たな技術的特徴があれば再検討する余地はあるが、普通に磁石を入れて箸先を浮かせる構成だけでは進歩性を肯定するのは難しい。
さらなる調査や検討の提案
- 引用発明をより詳細に読み込み、差異を具体化
- 磁力分布や軸配置、箸の材質や形状、吸着手段の種類などを比較検討し、「引用発明にない技術的特徴」が本当に存在するかを再確認する。
- より高度な効果の立証
- 衛生面やデザイン面で特段の技術的特徴(例:振動制御、着脱可能な磁石配置、極度の軽量化など)を検討し、想定される効果が引用例では予測不可能だったと主張できるかどうか検討する。
- 他の周辺文献もスクリーニング
- 当該分野(台所用品、磁気浮上技術を用いた雑貨)で既に多数の類似開示がある可能性が高い。追加調査を行い、最終的に権利化方針を判断する。
以上の内容を踏まえると、思いついた発明と引用発明がかなり重複しており、現時点では特許要件(特に新規性・進歩性)を満たすのは難しいと推察されます。しかし、詳細構成にまだ独自の着想(分布設計やコスト削減、デザイン性など)がある場合には、その差別化ポイントをさらに明確化して検討いただくことをおすすめします。必要があれば、上記(2)や(3)の方策を掘り下げたうえで、再度サーチや特許戦略を立案してみてください。
このように、ある発明に新規性や進歩性が無いと判断されてしまった場合、どうしたら特許権を取得できるかAIに提案をさせてみるという実験を行いました。
この記事では割愛をしますが、こちらのリンクをクリックして、一連のやりとりを最後まで確認することができます。
このように、ある課題を抱えているときに、生成AIと対話をしながら、人間の行っているタスクを言語化しつつ、生成AIに検討や実行をさせるということが有効であることを、筆者は実感しています。
次回からは、生成AIを特許調査に活用する方法について述べようと思います。
誰でも、J-PlatPatしか利用できない環境であっても、フレームワーク(型)を用いてルーティーンで迷わず、調査する方法を、コツ、ノウハウを具体例を挙げて解説・伝授する「侵害予防調査と無効資料調査のコツ」と題する有料セミナーを4/25(金)10時~16時に開催します。
このセミナーの内容は知財実務情報Lab.でしか聞けない内容となっています。
詳細はこちらからご確認ください。
