
こんにちは、知財実務情報Lab.専門家チームの角渕由英(弁理士・博士(理学)、特許検索競技大会最優秀賞)です。
連載で、「特許文書の読み方」について説明をしています。
前回は、(5)特許文書を読む際に色塗りを活用する方法について述べました。
今回は、スクリーニング時に色を活用する方法について述べます。
WEBブラウザにおいて、多くの特許文書を効率的スクリーニングするにはどうしたらよいでしょうか?
とある特許公報を単に表示させるだけだと、以下に示すように文字が並んでいるだけで、どのような発明であるか、どのような記載がされているかは文章を読まないとわかりません。

これに対して、J-PlatPatでキーワード検索をした結果表示されるハイライトが付されていると以下のようになります。
キーワードに色付けがされており、どのような構成があるかわかりやすくなっていると思います。

このように、文字情報のみよりも、色彩情報を追加することで、スクリーニングをしやすくなることがわかります。
登録調査機関のサーチャーであった頃、特許庁の審査官が用いる端末と同等の検索機能の「高度検索閲覧用機器」(通称:審査官端末)を用いてスクリーニングをしていましたが、キーワード(ヒットワード、追加ワード)を指定の色でハイライトすることができました。

特許庁の審査官も、以下の動画に画面が表示されているように、ハイライト機能を用いて、文章と図面を並列に並べてスクリーニングをしていることがわかります。
右側の画面の中央に示されているスペクトルバーで、どのキーワードがどの辺りに記載されているかもわかります。


今では商用のデータベースを用いて検索をしていますが、スクリーニングと言う観点からは、一番使いやすいシステムであると感じています。
以下に、筆者が使っている商用データベース(SRPARTNER)におけるハイライト設定を示します。

一般的な商用データベースであれば、上図のようなハイライト機能が備わっているでしょうし、WEBブラウザで拡張機能などによりキーワードをハイライトするなどすることも可能です。
以下に示すのは、isearのChrome拡張機能を利用してハイライトをした例となります。

キーワードがどこに記載されているか、スペクトルバーで可視化することで、各キーワードが近くに記載されている部分を探す際などにヒントとなると思います。
特許文書読解支援サービスのサマリアでもキーワードをハイライトでき、スペクトルバーでキーワードがどこに記載されているのかをわかりやすく示されます。
また、生成AIに用語の説明をさせると、キーワードに色が付いた状態で出力されるので、理解がしやすいです。

特許文書のスクリーニングというタスクについて、昔は紙に印刷された公報を手めくりで読んでいたが、インターネットの普及に伴ってWEBブラウザなど画面で表示をして読むことが主流になっています。
スクリーニングの目的に応じた読み方という観点に基づけば、従前のようにWEBブラウザで公報を表示させて読むだけではなく、生成AIを活用して、特許文書を“読む”ことも普通になっていくと感じています。
次回は、生成AIをスクリーニングに活用する方法について述べようと思います。
特許調査における生成AIの活用について話をしたYouTube動画、「特許調査における生成AI、サマリアの活用方法」が公開されています。 資料はこちらからご確認ください。
