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こんにちは、知財実務情報Lab.専門家チームの角渕由英(弁理士・博士(理学)、特許検索競技大会最優秀賞)です。
連載で、「特許文書の読み方」について説明をしています。
前回は、(4)特許文書の読み方(後編)として特許文書の読み方の工夫について述べました。
今回は、特許文書を読む際に色塗りを活用する方法について述べます。
” ビジネスモデル特許の権利化の奥義 ”(?)を田村先生に教えてもらいましょう。
発明のヒアリング、発明の捉え方、クレーム作成、中間対応のポイントまで、”ビジネスモデル特許の権利化の全て”を解説して頂きます。
また、「どうすれば権利が取れるのか」はもちろんのこと、その前提としての「どのようなビジネスモデル特許を取得すれば事業に資するのか」の考え方についてもご教示頂きます。
ビジネスモデル特許に携わる方は、ぜひご参加ください。
詳しくは以下をご参照ください。↓
発明を正確かつ効率的に理解するにはどうしたらよいでしょうか。
正確な発明の理解には、構成要件への分説(分節)と、色塗り(可視化)が効果的です。
発明は、請求項に文字で記載されていますが、構成要件に文節をして色塗りを行ことで、言語的な理解に加えて、視覚的・直感的に理解をすることができます。
登録調査機関のサーチャーとして知財業界に入ったときに受けた調査業務実施者育成研修(法定研修、通称はサーチャー研修)において学んだ、色塗りを活用して特許文献を読む方法を今でも活用しています。
とある特許公報に手書きで色塗り・書き込みをした例を示します。
以下の図に示すように、特許請求の範囲に記載の発明について、各構成要件に分節をして、物の構成ごとに色を塗っていきます。
参考となる明細書の文章や図面に対応して、符号番号、記載箇所を併記することで、発明を理解する方法となります。
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特許庁の審査官に、サーチした内容を説明する際に、本願と、提示する文献に、構成要件ごとに色塗りをしていました。
特許庁の審査官も、入庁すると、蛍光ペンセットが渡されて、色塗りをしながら特許文献を読む練習をすると聞いたことがあります。
蛍光ペン(消すことができると便利です)を5色程度(多くても~7色)用意し、関連する構成は似た色で着色する(暖色、寒色での塗分け)など工夫をすることで、自分も他人にも分かり易く、発明を理解することができます。
人間の認知能力においては、文字よりも色彩で認識する方が有効であり、文字だけではなく図や色と併せて視覚で認識をすると理解のスピード、クオリティが向上すると思います。
昔は、紙にプリントアウトして、消すことが可能な蛍光ペン、ボールペンで色塗りを行っていましたが、最近では、以下の図に示すように、PDFにハイライト機能を使って色塗りを行うと便利かもしれません。
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特許発明は、特許請求の範囲の記載によって定められますが、請求項の文言を、構成要件毎に分節し、各構成要素を色で塗り分けます。
先行技術調査や無効資料調査を行うときは、先入観を排除するために、まずは請求項から色塗りを行い、次に、図面や明細書にも色付けを行い、請求項の記載との対応関係を整理するとよいでしょう。
機械系の構造図面のみならず、化学・バイオ系の表、電気・システム系のブロック図やフローチャートにも色塗りを行うことで理解が深まると思います。
色塗りを応用する場面としては、侵害予防調査における対象製品の配合表、図面への色付けや、対比検討を行う際の色付け、契約書レビューにおける甲と乙の色付け、論文や書籍を読むときのキーワードへの色付け等、調査業務に限定されず、知財業務や日常生活においても視覚的に物事を理解する際に役立つでしょう。
次回は、スクリーニング時に色を活用する方法について述べようと思います。
特許調査における生成AIの活用について話をしたYouTube動画、「特許調査における生成AI、サマリアの活用方法」が公開されています。 資料はこちらからご確認ください。
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